頭痛のタイプを見分ける:あなたの痛みはどれ?
頭痛と一口にいっても、実は種類によって対処法がまったく異なります。日本頭痛学会の報告によると、日本の成人の約8.4%が片頭痛に悩んでおり、女性では12.9%と男性の約3倍にのぼります。特に20代から40代の働き盛り世代に多く見られるのが特徴です。
片頭痛は頭の片側がズキズキと脈打つように痛み、吐き気や光・音への過敏を伴うことが多いのが特徴です。一方、デスクワークの方に多いのが緊張型頭痛で、頭全体がギューッと締め付けられるような痛みが続きます。さらに近年注目されているのが「気象病」です。Weathernews社の調査では、約70%の日本人が天気の変化による頭痛や肩こりを経験していると回答しています。低気圧や台風が近づくと症状が出やすい方は、このタイプに当てはまるかもしれません。
市販薬の賢い選び方:ロキソニン・バファリン・イブの違い
薬局で「どれを選べばいいかわからない」という声をよく聞きます。市販の頭痛薬には主に3つの選択肢があります。
ロキソニンSは主成分がロキソプロフェンで、市販薬の中では特に即効性と鎮痛効果の高さが特徴です。歯痛や生理痛、炎症を伴う痛みにも対応できますが、15歳未満の子どもには使用できません。バファリンAはアスピリンに胃を守る成分を配合しており、胃への負担を抑えたい方に向いています。イブ(EVE)はイブプロフェン配合で、頭痛のCMでもおなじみの定番薬です。
選ぶ際のポイントは「痛みの種類」と「自分の体質」です。強い痛みでしっかり効かせたいならロキソニンS、胃が弱い方や軽度の頭痛ならバファリンA、バランス重視ならイブといった具合に使い分けるとよいでしょう。どの薬でも空腹時は避け、コップ1杯以上の水で服用するのが基本です。
片頭痛の新しい治療の流れ
市販薬で効果が不十分な片頭痛には、医療機関での治療が選択肢に入ります。従来はトリプタン系の処方薬が中心でしたが、血管を収縮させる作用があるため、心筋梗塞や脳梗塞の既往がある方は使用できませんでした。
ここ数年で治療の選択肢は大きく広がっています。CGRP関連治療薬と呼ばれる新しい薬が登場し、片頭痛の予防と発作時の治療の両方に対応できるようになりました。注射薬ではエムガルティ、アジョビ、アイモビーグの3種類があり、1ヶ月または28日に1回の注射で済むため、毎日内服する薬が難しい方にも負担が少ないのが魅力です。臨床試験では、エムガルティを6ヶ月使用した患者さんの約半数で片頭痛の日数が50%以上減少したというデータもあります。
さらに2025年には、急性期治療と発症抑制の両方を適応とする経口薬「ナルティークOD錠」が国内で発売されました。血管収縮作用がないため、従来のトリプタン系が使えなかった方にも選択肢が広がりました。頭痛治療の世界は今、大きく動いています。
| 治療法 | 種類 | 特徴 | こんな方に向く | 注意点 |
|---|
| 市販の鎮痛薬 | 内服 | 手軽に購入できる | 頻度が低く軽度の頭痛 | 月10日以上の使用は要注意 |
| トリプタン系 | 処方内服 | 片頭痛発作に特化 | 市販薬で効果不十分な方 | 血管疾患の既往がある方は不可 |
| CGRP関連注射薬 | 自己注射 | 月1回の注射で予防効果 | 慢性片頭痛の方 | 医療機関での指導が必要 |
| ゲパント系経口薬 | 処方内服 | 急性期も予防も対応 | 幅広い片頭痛患者 | 新薬のため情報収集を |
気象病・天気痛への対策:雨の日の頭痛を防ぐ
低気圧が近づくと頭痛が起きる「気象病」は、日本では1000万人以上が悩んでいるともいわれています。天気予報で気圧の変化がわかるアプリを活用し、前日から対策を始めるのが効果的です。
具体的な対策としては、耳まわりを温めることや耳周辺のマッサージが挙げられます。佐藤純医師によると、症状が重くなる前に早めに対処することが重要だそうです。また、こまめな水分補給や首・肩の血行を良くすることも、気圧変化による頭痛の予防に役立ちます。
デスクワーカーのための緊張型頭痛対策
午後になると決まって頭が重くなる。そんな方は、姿勢と筋緊張が原因かもしれません。パソコン作業で前傾姿勢が続くと首や肩の筋肉が緊張し、血流が滞って頭痛を引き起こします。頭痛が続くと交感神経が優位になり、呼吸が浅くなってさらに痛みが悪化するという悪循環に陥ります。
オフィスでできる簡単な対策として、1時間に1回は立ち上がって首をゆっくり回す、肩を上下に動かす、胸を開くストレッチを行うのがおすすめです。ランチ後の血糖値の急激な変化も頭痛の引き金になるため、食事はゆっくり噛んで、野菜やタンパク質を意識的に摂るようにしましょう。
頭痛ダイアリーで記録しよう
自分の頭痛の傾向を知るには、記録をつけるのが最も確実な方法です。いつ、どのくらいの強さで、どんな痛みだったのか。天気や睡眠時間、食事内容まで記録すると、自分の頭痛の引き金が明確になります。
スマートフォンの頭痛ダイアリーアプリを活用すれば、カレンダー表示で簡単に記録できます。アプリの中には無料で使えるものや、CSV形式でデータを出力できるものもあります。受診時にこの記録を持参すると、医師の診断がスムーズになり、より的確な治療方針を立ててもらえます。
受診の目安:こんな症状は危険信号
頭痛の多くは命に関わるものではありませんが、以下の症状がある場合は市販薬での対処を続けず、速やかに脳神経内科を受診してください。
- 突然の激しい頭痛(バットで殴られたような痛み)
- 発熱や首の硬直を伴う頭痛
- 手足のしびれや言葉のもつれを伴う頭痛
- 頭部外傷後の頭痛
- 50歳を過ぎて初めて起こった強い頭痛
また、市販薬を月10日以上使用している場合は、薬物乱用頭痛のリスクがあります。薬を飲まないと頭痛が出る、以前より薬が効きにくくなったと感じる方は、自己判断でやめずに専門医へ相談しましょう。
頭痛外来を探すときは、日本頭痛学会の認定施設や、脳神経内科を標榜するクリニックを目安にするとよいでしょう。クリニックによってはMRI検査を院内で完備しており、診察当日に検査を受けられることもあります。紹介状がなくても受診できる医療機関が多いので、まずは問い合わせてみてください。
頭痛は我慢するものではありません。タイプに合った対処法を見つけ、必要なときは専門医の力を借りることで、痛みのない毎日を手に入れることができます。自分の頭痛と向き合う第一歩を、今日から始めてみませんか。