税理士事務所に依頼できること
税理士は税務申告の代行や書類作成、税務相談を独占業務として担う専門家です。まずは依頼できる主な業務を整理しましょう。
- 確定申告の代行:個人事業主や副業収入がある方の所得税申告。青色申告の決算処理から申告書の提出まで対応します
- 法人の決算・申告:株式会社や合同会社の決算処理、法人税・消費税の申告
- 記帳代行・経理代行:日々の帳簿付けや請求書の整理を代行し、経理業務の負担を軽減
- 顧問契約:月額報酬で税務相談や事業に関するアドバイスを継続的に受ける
- 相続税・贈与税の申告:相続発生時の財産評価や申告書作成。期限が短いため専門家の支援が有効です
サービス別の費用相場
料金は依頼内容や事業規模によって異なります。ミツモアの成約価格(2024年1月~12月)を参考にした相場は以下の通りです。
| サービス | 費用相場 | 主な対象者 | メリット | 注意点 |
|---|
| 個人の確定申告代行 | 58,000円~133,000円 | 個人事業主・副業者 | 控除の取りこぼし防止、還付の可能性 | 依頼時期が遅いと費用が上がる |
| 個人事業主の顧問契約 | 月額9,300円~16,000円 | 売上規模が小さい事業者 | 気軽に相談でき、経営の相談相手になる | 業務範囲を明確にしておく必要 |
| 法人の顧問契約 | 月額12,350円~22,000円 | 中小企業・小規模法人 | 決算や税務の安心感、融資相談も可能 | 規模が大きくなると報酬も上昇 |
| 法人の決算申告 | 99,000円~206,400円 | 年1回の決算を迎える法人 | 計算ミスや申告漏れを防止 | 資料の整理状態で工数が変動 |
| 記帳代行・経理代行 | 120,500円~298,500円 | 経理担当がいない事業者 | 本業に集中できる | 元帳の突合が不十分だと追加費用 |
| 会社設立支援 | 12,000円~287,000円 | 起業を検討する方 | 定款作成から登記まで一貫対応 | 設立後の顧問契約を求められる場合も |
| 相続税の申告 | 250,000円~497,575円 | 相続が発生した家族 | 遺産分割や評価の専門的対応 | 財産規模が大きいと報酬も増加 |
なぜ今、税理士のサポートが必要なのか
近年の税制は個人事業主にとって複雑さを増しています。代表的なのが**インボイス制度(適格請求書等保存方式)**の定着です。制度開始から数年が経過し、経過措置の内容も段階的に変わっています。免税事業者からの仕入れに係る経過措置は2026年10月以降に引き下げられるなど、毎年のように判断の見直しが必要です。
また、電子帳簿保存法の対応も無視できません。領収書や請求書の電子データ保存が求められる場面が増え、帳簿の付け方そのものが変わっています。クラウド会計ソフトの普及で自分で経理をする方も増えましたが、申告書の作成段階でつまずくケースは少なくありません。
さらに青色申告のメリットを最大限に活かすには、正しい記帳と必要な届出が欠かせません。65万円控除を受けるための要件や、赤字を翌年以降に繰り越す仕組みなど、制度を知っているかどうかで税負担に差が出ます。
税理士事務所を選ぶポイント
1. 相談しやすさと相性を確認する
税理士は長期的なパートナーです。初回相談で「質問しやすいか」「こちらの状況をきちんと聞いてくれるか」を確かめましょう。近年はオンライン対応の事務所も増え、対面相談が難しい方でも自宅から相談できます。地方在住の方や遠方の方には、オンライン面談に対応した事務所が便利です。
2. 得意分野と実績を確認する
すべての税理士事務所が同じサービスを提供しているわけではありません。個人事業主向けに強い事務所、相続専門の事務所、クラウド会計に詳しい事務所など特色はさまざまです。自分の状況に合った専門性を持つ事務所を選びましょう。
3. 料金体系を事前に確認する
顧問契約の月額報酬は事務所によって差があります。小規模事業者向けに月額11,000円(税込)から提供している事務所もあれば、業務範囲に応じて個別見積もりとなる事務所もあります。見積もり時に何が含まれているのか、追加料金の条件は何かを必ず確認してください。
4. 記帳の方法を相談する
自分でクラウド会計ソフトに入力するのか、事務所に記帳代行まで依頼するのか。経理体制は税理士選びとセットで考えると失敗しません。freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計に詳しい事務所は、データ連携がスムーズで手間が省けます。
実践的な活用法
個人事業主の場合
開業して間もない時期は、まず確定申告だけのスポット依頼から始めるのが無難です。その年の決算が終われば料金が明確になり、翌年以降の顧問契約を検討する材料になります。実際、大阪でデザイン事務所を営む田中さんは「開業2年目に初めて税理士に依頼し、経費の計上漏れが見つかって節税につながった」と話します。
法人の場合
法人は毎期の決算と申告があるため、顧問契約を結び、月次の数字を共有しながら経営するのが一般的です。決算書を銀行に提出する機会も多く、融資の際には税理士の関与が信用力の向上につながります。
相続が発生した場合
相続税の申告期限は相続の開始を知った日の翌日から10か月以内と決まっています。財産の評価や分割協議が長引くケースもあり、早めに専門家へ相談することが重要です。福岡で不動産を相続した佐藤さんは「初回相談で遺産分割の進め方を整理してもらい、期限内に無事申告を終えられた」と振り返ります。
依頼を検討する方へのアドバイス
税理士事務所を探す方法としては、国税庁の税理士検索、商工会議所の紹介、知人の紹介、一括見積もりサービスなどがあります。最初から絞り込まず、2〜3件に無料相談を申し込んで比較するのがおすすめです。
相談時には売上や経費の状況、今後の事業計画、困っていることを簡単にまとめておくと、より具体的なアドバイスを受けられます。初回相談が無料の事務所も多く、敷居はそれほど高くありません。
税金は事業や人生の節目で必ず向き合うテーマです。専門家のサポートを得ることで、節税の可能性を広げ、手続きの負担から解放され、本業に集中できるようになります。まずは一歩踏み出して、気になる事務所に相談してみてはいかがでしょうか。