日本人に多い頭痛はこの2タイプ 見分け方と痛みの特徴
頭痛には大きく分けて、はっきりした原因がない一次性頭痛と、脳の病気などが原因となる二次性頭痛があります。日本人で最も多いのは緊張型頭痛で、有病率はおよそ22%と報告されています。次いで多いのが片頭痛で、有病率はおよそ8%です。どちらも女性に多いのが特徴ですが、片頭痛のほうが男女差ははっきりしています。
緊張型頭痛は頭の両側が圧迫されるような鈍い痛みで、30分から数日続くこともあります。肩こりやストレートネック、同じ姿勢でのデスクワークが誘因になりやすく、夕方に悪化しがちです。一方の片頭痛は、こめかみが脈打つようにズキズキと痛み、吐き気や光・音への過敏を伴います。生理前後や寝不足、気圧の変化で悪化する人が多いのも片頭痛の特徴です。
ここで注意したいのが、市販薬を飲み続けているのに効かなくなってきたケースです。痛み止めを月に10日以上使っていると、薬自体が新しい頭痛を引き起こす「薬剤の使用過多による頭痛(MOH)」に移行することがあります。市販薬の使用頻度が増えていると感じたら、自己判断で量を増やすのではなく、医療機関で予防療法を検討するタイミングです。
頭痛外来はどんな人におすすめ? 受診の目安と流れ
「頭痛くらいで病院に行くのは恥ずかしい」と感じる人は多いのですが、日本の片頭痛患者のおよそ7割は医療機関で診断を受けていないという調査結果があります。月に2回以上頭痛がある、市販薬が効かない、朝起きたときから痛い、初めて経験する強い痛みで不安がある——こうした項目にひとつでも当てはまるなら、一度は受診を考えてみてください。
受診先としては、脳神経内科や脳神経外科の頭痛外来が適しています。日本頭痛学会の専門医がいる施設では、問診に加えてMRIなどの画像検査を行い、危険な頭痛(くも膜下出血や脳腫瘍など)を除外したうえで診断を確定します。「いつもの頭痛」と思っていても、経験したことのない激しい痛みや吐き気がある場合は、ためらわずに早めの受診が必要です。
受診の際に役立つのが頭痛ダイアリーです。いつ、どんなときに、どのくらいの強さで痛むのか、何を飲んだら効いたのかを1〜2ヶ月記録しておくと、診断の精度が上がります。最近はスマートフォンのアプリで気圧予報と連動した頭痛記録も増えており、天気痛(気象病)の対策にも活用されています。
片頭痛の最新治療はここまで進んでいる 2026年の選択肢
片頭痛の治療は、痛みが起きたときに飲む急性期治療と、発作そのものを減らす予防治療の2本立てです。急性期にはロキソニンなどのNSAIDsやトリプタン製剤、予防治療には抗てんかん薬やCGRP関連薬剤が用いられます。2025年12月には、急性期と予防の両方に使える日本初の経口薬が登場し、これまで別々の薬を組み合わせていた患者の選択肢が広がりました。
注射によるCGRP関連抗体薬も、国内で広く保険適用されています。月に1回の注射で発作の頻度や強さが減るケースが多く、内服を続けるのが難しい人や、鎮痛薬の使用回数を減らしたい人に向いています。副作用の多くは注射部位の赤みや腫れで、時間とともに軽快することがほとんどです。ただし、こうした薬は専門医の判断が必要で、誰でもすぐに使えるわけではありません。
| 治療の種類 | 代表的な選択肢 | 費用の目安 | こんな人に向く | 主なメリット | 注意点 |
|---|
| 急性期治療(市販薬) | ロキソニンS、タイレノールAなど | ドラッグストアで購入可能な価格帯 | 月に数回、軽い頭痛がある人 | すぐ手に入る、使い慣れている | 使いすぎるとMOHのリスク |
| 急性期治療(処方薬) | トリプタン製剤、新しい経口薬 | 保険適用、3割負担 | 市販薬が効かない中等度以上の片頭痛 | 発作のピークを抑えやすい | 脳血管疾患の既往がある人は不可 |
| 予防治療(内服) | 抗てんかん薬、抗うつ薬など | 保険適用 | 月に2回以上発作がある人 | 毎日飲むだけで発作を減らせる | 効果が出るまで数週間かかる |
| 予防治療(注射) | CGRP関連抗体薬 | 保険適用、1本あたり1万円台後半の3割負担相当 | 月に5回以上頭痛がある人、内服が苦手な人 | 月1回で済む、副作用が比較的少ない | 頭痛専門医の診断が必須 |
今日からできるセルフケア 気圧・姿勢・生活リズムの整え方
天気痛対策として注目されているのが、気圧の変化を予測して早めに対処する方法です。雨の前日に頭痛が来やすい人は、気圧予報アプリで下がり始めるタイミングを確認し、その前に睡眠をしっかり取ったり、首回りを温めたりするだけでも違います。内耳の気圧センサーの過敏さが関係しているとされ、めまいを伴う人には漢方薬の五苓散が処方されることもあります。
デスクワークが多い人は、1時間ごとに首と肩のストレッチを取り入れてみてください。ストレートネックが進むと後頭部の筋肉が緊張し、緊張型頭痛の引き金になります。モニターの高さを目の位置に合わせる、椅子の背もたれに骨盤を立てて座るといった環境調整も効果的です。カフェインは片頭痛の誘因にもなれば、痛みを和らげる補助にもなるため、摂取量とタイミングを一定に保つことが大切です。
地域の頭痛外来を探すなら 受診までのステップ
まずは最寄りの脳神経内科・脳神経外科を検索し、頭痛外来の有無や日本頭痛学会専門医の在籍を確認してみてください。「頭痛外来 近く」といった形で地域名を入れて探すのが早い方法です。オンライン診療に対応しているクリニックも増えており、通院が難しい人でも初回相談から受けられる場合があります。
受診の際は、これまでの頭痛の頻度、市販薬の使用状況、頭痛ダイアリーの記録を持参しましょう。診断がつけば、急性期治療に加えて予防療法の選択肢も提示されます。頭痛は「体質だから仕方ない」と我慢する病気ではありません。適切な治療で、頭痛を忘れて仕事や家事に集中できる日を増やすことは十分に可能です。まずは気軽に相談できる医療機関をひとつ見つけるところから始めてみてください。