検査の鍵となるポイント
建物の劣化状況調査
まず建物の外観から着手する。外壁の塗装の剥がれやケガレの有無を確認し、それが劣化の兆しでないか判断する。さらに建物の基礎部分をチェックし、地盤の浮きや亀裂がないか確認する。例えば壁面に浅いひびわれがある場合、それが経年劣化によるものか、新たな亀裂かを明確にする必要がある。
防水性能の彻底的チェック
屋根や窓周りの防水は重要なポイントだ。屋根の瓦やタイルの固定具がしっかりしているか、雨水の浸入痕がないか確認する。また、外壁のシーリング部分をチェックし、水浸みの斑点がないか調べる。多雨な地域ではこの点の確認が特に不可欠で、一度漏れが発生すると修理費用が嵩むためだ。
設備類の動作確認
配管や電気設備の動作を確認する。水道管の流れを確認し、漏れの有無をチェックする。排水管の詰まりの可能性も調べる。電気系統については、ブレーカーの切り替えやライトの点灭を確認し、配線の老朽化がないか検査する。古い建物では電線の絶縁劣化が起こりやすいため、注意が必要だ。
リスクを回避する実践的手段
専門検査会社の依頼
中古不動産の検査には専門の建物検査会社を利用するのが最善策だ。例えば日本国内の大型検査企業が提供するサービスを利用し、建物の全体像を把握する。専門家が建物の構造、防水、設備などすべての面を詳細に診断し、レポートを作成してくれる。これにより目に見えないリスクを早期に察知できる。
購入合同の慎重な締結
購入合同には厳密な条項を盛り込む必要がある。検査で発見された問題点については、原則として売主が修繕する旨を合同に明記する。また、検査結果に基づいて価格を交渉する条項を設けることで、自身の損害を防げる。例えば検査で大規模な修理が必要と判断された場合、売主に修繕費用の支払いを義務付けるなどの条項を入れる。
過去履歴の徹底調査
中古不動産の過去使用履歴を調べることも重要だ。例えば賃貸物件だった場合は、前の居住者が何らかの不正行為をしていないか、修繕を怠っていないか確認する。また、災害にあった経緯がないか、防災設備が十分に整っているか調べる。こうした情報を元に、物件の信頼性を客観的に評価できる。
まとめ
中古不動産の購入はリスクを伴うが、適切な検査とリスク回避策を講じれば安心した取引が可能だ。建物の劣化状況、防水性能、設備類の動作をしっかり確認し、専門の力を借り、合同を慎重に締結することで、購入後の悔しさを最小限に抑えられるだろう。