一、担保設定の法律手続き正確化
(一)抵当権設定の登記義務
日本民法(平成 22 年法第 89 号)第 177 条に定める通り、不動産に対する抵当権設定は登記によって初めて効力を生ずる。したがって、不動産ローン成立時、貸し手は借り手と連携して速やかに抵当権登記を行うべきである。例えば、借り手が土地を抵押物とする場合、行政機関における土地登記手続きを正確に進め、登記情報の正確性を保つ必要がある。貸し手は借り手に対して登記手続きの重要性を十分説明し、協力を求めるべきだ。
(二)担保物件の明確特定
担保として用いる不動産は具体的に特定されている必要がある。民法第 174 条に基づき、抵当権の目的物である不動産は明確に記載された物件でなければならない。例えば「東京都港区 XX ビルの建物及びその占める土地」といったように正確に記述する必要がある。貸し手は借り手と共に担保物件の詳細情報を確認し、契約書に明確記載して登記手続きに供するべきである。
二、抵押物処分の法律手続き順守
(一)債権回収の法定手続き
借り手が返済義務を履行しない場合、貸し手は抵押物を処分して債権を回収する必要がある。この際、日本民事執行法に則った手続きを踏む必要がある。例えば仮差押えの申請から、差し押さえられた不動産の評価、競売手続きまで、法定手順を厳格に遂行すべきである。貸し手は専門の弁護士や執行書士の助言を得て、抵押物処分手続きを適切に進めるべきだ。
(二)借り手の権利保護
抵押物処分過程においても借り手の権利は保護されなければならない。民法第 389 条により、債務者は差し押さえの告知を受け異議申立ての権利を有する。また競売に際しては公正な価格での競売が行われるべきで、借り手の利益を損なう不当行為を防止する必要がある。貸し手は抵押物処分の際、借り手に十分な情報提供を行い、法律に基づく手続きを厳格に遵守することが肝要である。
三、担保権優先順位の確認
(一)先取特権との関係
日本民法には先取特権が規定され、例えば労務報酬支払請求権、葬儀費支払請求権等が該当する。これら先取特権は抵当権よりも優先して弁済される場合がある。したがって、不動産ローンの際、貸し手は抵押物に先取特権が存在しないかどうかを確認する必要がある。例えば土地所有者に未払いの労務費用がある場合、その先取特権が抵当権より優先するため、貸し手の債権回収が困難になるおそれがある。したがって事前に不動産の所有状況や債務状況を詳細調査し、担保権優先順位を明確把握することが重要である。
(二)複数抵当権の場合の対処
同じ不動産に複数の抵当権が設定される場合、弁済順序は法律で定められている。民法第 394 条に基づき、登記の先後により優先順位が決まる。したがって貸し手は自身の抵当権が登記された時期を確認し、他の抵当権との優先順位を明らかにする必要がある。例えば既に一定額の抵当権が登記されている場合、自身のローンの返済が保障されるか再審査し、適切な対策を講ずべきである。